マンション業界コラムVol.32
今回は不動産広告の業界内裏話についてお話しようと思います。
私は以前、建設現場で日雇いの仕事をしていた事があります。
そこでの出来事なのですが、現場監督に「ネコ持ってこい!」と怒鳴られ「猫なんていませんよ!」と言いかえしたら、先輩に「一輪車(砂とか運ぶやつ)をネコ車って言うんだ」と教えられた事がありました。
業界にはそれぞれ、特殊な呼び捨ての名前があるものです。
私がマンション業界に関わってまず驚いたのは、業界人同士である特定の物件を指して「○○駅で何年前に出た○○○(ブランド名)」と、マンションの正式名称でなく、ブランド名だけを呼び捨てにしながらも、それで当然のようにお互いの話が通じている事でした。
業界の人は、大体のマンションブランドとその会社名を記憶しているのです。
その様にブランド名で物件を呼び捨てるのが通例ですが、時々「ああ、あれは○○○○(タレント名)のマンション」とタレント名で言われたりする事があります。また「この物件は、○○○タウン(広告の時の愛称)よりデカイな」等と、愛称で呼ばれる事もあります。
別にそのタレントが住んでいるわけでも、テーマパークが入っている訳でもありません。
そのマンションが販売されたときに行われていた広告のイメージがそのまま業界内で語り継がれているのです。

折り込みチラシやインターネットのバナー広告等を見ると、その広告は、マンションの外観CG完成予想図(業界ではパースと言っています)がドーンと出ているもの、あるいは空撮写真を中心としたものを想像されるのではないでしょうか。
そのような、物件が異なっても余り代わり映えのしないイメージから、安易に作っていると思われ勝ちな不動産広告ですが、なかなか裏事情は複雑なのです。
不動産は人生で最も高い買い物の一つですので、色々な規制がかけられています。
正確に言うと「宅地建物取引業法」や「不当景品類及び不当表示防止法」等の法令による規制や、不動産公正取引協議会による「不動産の表示に関する公正競争規約」等、複雑でややこしい内容のものにより、表示義務や表示不可の規制等が多数あります。
■必ず物件概要を入れる!?
また不動産広告の表現上の決まりとして、基本情報である「物件概要」を広告内に入れる必要があります。
規制では、
①広告主の関連情報
②物件の所在地、規模、形質その他の内容
③物件の価格その他の取引条件
④物件の交通その他の利便及び環境
⑤その他規則で定められた事
を見易い大きさの文字で入れる事になっています。
折り込みチラシや新聞広告で下の方に、物件概要と言うマンションの所在地や交通条件、間取り、面積等が書いてある細々した部分がありますが、これが皆さんに分かり易い実例だと思います。
この「物件概要」の決まりは新聞や折込チラシのみならず、 インターネット広告でも同様で、例えばマンションDBでも必 ず物件概要へのリンクが貼ってあります。
しかし、この決まりには例外もあって電車の中吊り等の交通 広告や看板等の屋外広告では「物件概要」を出す必要はあ りません。
道路沿いの看板に細かい物件概要を書いても読めません
し、広告の性質上、あまり細かいところまで見られないという 特性が考慮されているようです。
マンションDB/物件トップページ(例)
屋外広告の話が出たので蛇足ですが、バスのラッピング広告というものがあります。
この広告は、街で歩いている人や車に乗っている人など多数の人達に見られる非常に優れたメディアなのですか、規制がとても多いのです。
本当は、派手な色使いをした上で、HPのURL等をバスの横等に書き込みたいのですが、車を運転する人がバスに目を取られてURLを読んでしまったら、安全上問題があり、事故が多発してしまいます。そのため、バスのラッピング広告は都市の条例によってなるべく簡素化するようにと色々規制されています。
◎おまけ…不動産広告用語ミニ知識◎
■「新築」:新築物件とは、建設後1年未満であって、居住の用に供された事がないものを言います。つまり竣工して1年以上経つと、誰が住まなくても中古物件になってしまいます。
■「所要時間」:徒歩による所要時間は、1分間=80mというのは有名ですが、では、自転車や車は?
実は正確な決まりはありません。「道路距離を明示して走行に通常要する時間を表示する事」とされています。
■「物件名」の基準:物件の名称に使えるものとしては、
①「所在する市区町村の町、若しくは字の名称、又は地理上の名称」
②「慣例として用いられている地名又は歴史上の地名」
③「最寄の駅、停留場又は停留所の名称」
④「直線距離で300m以内の公園、庭園、旧跡の名称」
⑤「面している街道その他の道路や坂の名称」
があります。マンションの名前で周りの名所が分かるかも?
以上、今回は「不動産広告の話」第1回を掲載しましたが、次回は第2回として「広告を開始するには許可が必要!?」「値段が決まっていない物件は広告出来ない!?」についてお話しする予定です。


以前、学生の頃に実家周辺の歴史を調べた事がありました。面白かったのは鉄道敷設のときの話。
その後は