マンション業界コラムVol.24

オール電化とマンション業界について話します。
デベロッパーの販売活動を代行している、販売代理会社の方から聞いたことがあるのですが、売れそうなマンションとはどんなマンションなのでしょうか。
簡単に言えば「お客様に対して売り文句になりそうなものを沢山持っているマンション」です。「立地が良い」「価格が安い」「設備・仕様が充実している」等。色々あります。
そんな中に「オール電化」という項目もあります。
そもそもオール電化とは何なのでしょうか。
東京電力のサイト「switch!」を見ると、「オール電化」は、“キッチンや給湯などの生活エネルギーをすべて電気でまかなう賢いライフスタイルです”とあります。
実際、マンション販売の現場では
「IHクッキングヒーターがついている」
「エコキュートや電気温水器がついている」
「電熱式の床暖房が設置されている」
「オール電化専用の電気料金プランを利用している」
等の条件を持つ物件を「オール電化マンション」と呼んでいるようです。
しかし、これだけ見ただけでは「オール電化」が販売会社の人に喜ばれる理由が分かりません。
最近は燃費効率の良いガスレンジもありますし、ガス温水式床暖房も普及しています。
マンション販売上の売り文句としては同レベルではないでしょうか?
以前そんな疑問を抱いた私は、販売会社の人にオール電化が何故人気なのか、聞いてみました。
すると以下のような返事が返ってきたのです。

①「オール電化はランニングコストが安い」
オール電化のマンションは、季節と時間帯で電気代を設定する「電化上手」という割安な料金メニューを選択すると節約効果が高い。しかも「全電化住宅割引」や「スマイル・クッキング割引」という割引サービスがあって毎月の電気料金が安い。これは毎月だと微々たるものかも知れないが、何年も経つとかなりの金額、得をしていることになる。経済感覚の優れたお客さんには、これだけでも売り文句になる。
更に、オール電化住宅だと住宅ローンの金利が安くなる。これは別に銀行がオール電化の人たちを応援しているという訳ではなくて「オール電化の家はランニングコストが安いから、多少多めにお金を貸しても大丈夫。金利を安くするからもっと借りてくれ」という考え方。従って、同じ年収でもオール電化と普通のマンションでは借りれるお金が違う。お客さんの予算が増えれば、購入できる住戸の幅が増えて、こちらとしてもお客さんに希望に合った住戸をお勧めできる。
②「オール電化はクリーンで安全だ」
IHクッキングヒーターはガスとは違って、一酸化炭素などの排気ガスが出ない。火も出ないから火事の心配も少ない。子供がいる家庭では安心できる要素だ。
ガス火で熱された空気が上に上がることが無いから油汚れなんかも少ない。五徳が付いてないフラットなトップで掃除も楽だ。こういう売り文句は特に主婦に効く。
それから、地震の時にもオール電化は強い。電気は地震で電線が切れても、あっという間に復旧する。都市ガスでは、ガス管は普段地中に埋まっていて、地震で分断されたのを掘り返して繋いだとしても、他の部分のガス漏れ点検を厳重にしないといけないから、復旧に時間がかかる。
地震の不安は、日本人はみんな持っている。この「災害に強いオール電化」の話は、全ての人が興味深く聞いてくれる。
③「オール電化は環境にいい」
最近は「環境に配慮する」事がどこでも人気だ。その点で考えるとオール電化は環境に配慮したライフスタイルといえる。確かに家でガスを燃焼させるのと、化石燃料を燃焼させて発電した電気を使うのでは、同じ事かも知れない。
ところが、発電所というのは電気をためておくことが出来ない。また、効率よく発電するため、常に炉の温度を上げとかないといけないから夜でも大量に発電をしている。
かといって、夜に仕事をする工場や企業は少ないから、夜に発電した電力は多くが無駄になっている計算になる。
「オール電化」ではエコキュート等の装置で、夜間電力を利用してお湯を沸かして、昼に使っている。
これはつまり、今まで無駄にしていた夜間電力を活かし、昼間の消費電力を抑える事で無駄な発電を抑える行為だ。
これは直接的なマンション購入動機には繋がらないが、案外、最近の若い人はこういった事を評価する。イメージも良いしね。
との事でした。
こんな売り文句がよく出てくるものだと驚きながらも、こんなにオール電化はお得なのかと感心したのを覚えています。
このように売り文句が沢山あるオール電化マンション。最近は積極的に取り入れるデベロッパーも多くなってきました。
下に一都三県で供給されたオール電化マンションのグラフがありますが、2003年ごろから急激に供給数が増え、マンション市場全体の中での比率も右肩上がりとなっています。(グラフ①)
■オール電化マンションの供給住戸数と比率の推移(グラフ①)

着実に増えているオール電化マンションですが、マンション業界では「オール電化は大規模物件に多い」という特権的なイメージがあります。
確かにオール電化は販売上有利な売り文句を豊富に持っていますので、多くの戸数を販売しなければならない大規模物件では、デベロッパーが計画段階から積極的に取り入れたという事が考えられます。また新しい設備であるオール電化を採用するにはコストがかかりますが、戸数のあるマンションでは一戸あたりの費用負担が少なくて済むため、導入しやすかったということもありそうです。
■オール電化マンションの住戸数「大規模」VS「中小規模」(グラフ②)

■オール電化マンションの物件数「大規模」VS「中小規模」(グラフ③)

実際にオール電化マンションの「住戸ベース」における大規模物件(200戸以上)と中小規模物件(200戸未満)の比率を見ると、2002年までは住戸数の半数以上が大規模物件での供給ですし、その後も大規模物件での供給が半数を占めています。(グラフ②)
しかし、最近では設置コストの低下などの要因により、大規模物件でなくてもオール電化設備を付けるマンションが増えてきました。マンションのデータを住戸ベースではなく、「物件ベース」で見ると、ここ数年で中小規模のオール電化マンションが急増している傾向が分かります。(グラフ③)
このように今まで「大規模物件の特権」的イメージがあった「オール電化マンション」もずいぶん身近になってきたものです。
さて、今回のコラムと同時期に、マンションDBで「オール電化マンション特集」が組まれます。
皆様も是非、オール電化の魅力を理解した上で、物件選びの参考にしてください。
そして実際にマンションのモデルルームに行ったときは、営業さんの饒舌な「オール電化の魅力」について耳を傾けてあげるといいでしょう。
※データ元:MRC
物件パンフレットの情報を元に集計しました。
Tweet This Post